今回は、キャリアプランがなぜ必要なのかを深く探求していきます。これからのキャリアの方向性が見えず不安になっている方、仕事のモチベーションが低下している方に、キャリアプランの有用性と具体的なプランニングについて詳しく解説していきます。
キャリアプランとは
キャリアプランとは、「自分が将来実現したい目標と、その目標を達成するための手段」をまとめた中長期の計画です。
仕事を通じてどのような自分になりたいのか、どのような仕事をしたいのかなど将来の目標を定め、目標達成に向けてどのように行動していくのかを具体的に計画していきます。
近年では、成果主義の会社が増えたり、転職することが一般的になったりと、自分のキャリアは自分でつくるというのが一般的となりつつあります。自分の将来像があやふやのままでは、いつまでも自分のキャリアへの不安を拭い去ることができません。だからこそ、キャリアプランをしっかりと考え、その計画に沿って行動していくことが大切なのです。
終身雇用が崩壊しつつある今、キャリアプランは必要!
キャリアプランが必要となる理由として挙げられるのが、「終身雇用制度の崩壊」です。そもそも終身雇用とは、一度採用したら定年まで雇用関係が続くことを指します。働く人にとっては、長年の雇用が保証され、勤続年数によって賃金が上がるメリットがあり、企業側にとっても十分な人材を確保でき、長期的な目線で人材育成ができるというメリットがあります。
しかし、近年の日本経済は低迷によって人件費の高騰が企業にとって重荷となり、少子高齢化によって労働人口が減少し続けているのが現状です。終身雇用は年功序列の賃金とセットなので、人を長く雇うほど人件費は膨らみ、年功序列の性質上、若手社員の評価を賃金で示すことが難しいため優秀な若手人材が流出してしまいます。
また、IT技術の進化によって社会の価値観は多様化し、企業のビジネスモデルは変化しています。高品質であればモノが売れた時代と異なり、新しい価値や柔軟な発想が必要とされているのです。
そのような中で、自社にはいない専門性をもつ人材や、即戦力となる人材の必要性が高まりつつあります。 もはや、自社内でのみ人材を育成する合理性は低下しており、中途で優秀な人材を確保する重要性の方が高いのです。
このような背景から、企業は終身雇用から成果主義へとシフトしています。今は終身雇用を継続する企業は一定数存在していますが、今後減少していくでしょう。
これからの時代を生き抜くためには自らキャリアを構築し、自身の市場価値を高めなければなりません。キャリアプランはこの時代を生き抜くための一つの手段なのです。
一方でキャリアプランは不要だという意見も・・・
キャリアプランは不要だという意見も、よく聞かれます。その背景にあるのは、現代はVUCAといわれる想定外の変化が起きやすいからだといいます。
想定外の変化が起きてしまうと、物事が計画通りに進まなくなり、せっかく立てたキャリアプランも無駄になってしまうでしょう。計画通りにいかないから、計画を立てる必要がないという意見にも頷けます。
ですが、想定外のことが起きるからこそ計画を立てるべきなのではないでしょうか。例えば、休日のスケジュールを考えるときに、どうせ想定外のことが起きるからと計画を立てずに思い付きで行動するでしょうか。それでは非効率ですよね。
想定外のことが起きるからこそ、計画を立てて、起きるであろうことを想定する必要があるのです。キャリアプランを立てることは、将来どのようなことが起きても動揺せず、臨機応変に対応するために必要なのです。
キャリアプランを立てるメリットとは?
キャリアプランを立てることには様々なメリットがあります。今回はその中でも代表的なメリットを3つ紹介します。
仕事のモチベーションが上がる
キャリアプランを立てることで、将来の目標=ゴールを設定することができるので、仕事のモチベーションを上げる効果が期待できます。
仕事のモチベーションが上がらない原因として多いのが、仕事における目標=ゴールが設定されていないということです。目標がなければ、達成感や成功体験を積むことができないため、モチベーションは上がりません。また、ゴールが見えないので将来が不安になることもあるでしょう。
キャリアプランは、あなたの価値観に基づいて将来の目標を設定します。目標を設定する目的は、今の仕事で何を頑張るべきなのか、必要なスキルは何なのかなど課題をはっきりさせることです。その課題を一つ一つクリアしていくことで、目標に近づいている達成感を得ることができ、モチベーションを上げることができるのです。
仕事のモチベーションが上がらないという方は、まずはキャリアプランを立ててゴールを設定しましょう。
物事を判断する軸ができる
キャリアプランは、あなたの価値観に基づいて立てるものです。よって、どう行動するべきか判断しなければならないときの判断基準=軸にすることができます。
軸とは、あなたの価値観に基づいてどのような人生を送りたいか、どのような仕事、働き方をしたいのかを考えるときの絶対に譲れない主観的なものです。
例えば、「家族との時間を大切にできる働き方をしたい」「年収を上げてお金に困らない生活をしたい」「これから成長していく産業でバリバリ働きたい」などです。
どう行動すべきか考えるときの軸があることで、世間の流行や周りの意見に流されてしまうこともなくなり、仕事で辛くなることがあっても頑張れる原動力となるでしょう。
あなたの価値観に基づいたキャリアプランを立て、周りに流されないブレない軸をつくりましょう。
やるべきことが明確になる
将来の理想像から現在の自分までを逆算して考えることで、今何をやるべきなのかが明確になります。
ぼんやりと将来の理想像を描いていても、実際にそれを実現するための行動を取らなければいつまで経っても理想の姿に近づくことはできません。
一方、キャリアプランを考えることは、将来の理想像を実現するために身に付けるべきスキルや、行動を考えることです。必然的に「今何をするべきか」が明確になるのです。
以下のように整理すると、やるべきアクション内容が分かりやすくなります。自分の思い描く夢が漠然とした状態から実現のために必要な具体的な行動が分かるようになるでしょう。
簡単4ステップ!キャリアプランの立て方
キャリアプランの立て方を4ステップで解説していきます。簡単にできるので、あなたも試してみてください。
ステップ1:過去の自分の生き方を振り返る
将来のことを考えるためには過去を振り返ることが欠かせません。幼少期から現在までの人との出会いや成功・失敗体験などを振り返り、記憶に残っている出来事を可能な限り全て書き出しましょう。
また、出来事だけではなく、そのときにどのような感情になったのか、自分はそのときどのような行動をとったのかをセットで書き出しましょう。記憶が整理され、あなたが得意としていることや苦手意識を感じているものが何か客観的に見ることができます。
今のあなたが抱く感情は、全て過去の成功・失敗などの経験によって形作られています。記憶に残っている過去の出来事を、どのような感情になったかもセットで書き出すことで、あなたが得意・苦手を感じているものが何なのか、それはなぜかということを知ることができるのです。
ステップ2:自分自身の価値観を考え直す
次に、今のあなたが持つスキルや価値観、興味関心があるものなどを考え直しましょう。今のあなたの価値観に基づいてキャリアプランを考えることで、ブレない軸にすることができます。
ここで大切になるのが、「仕事で大切にしていること」「今の仕事に対して満足していること・不満なこと」といった仕事に関すること以外に、「仕事とプライベートのバランス」「今後のライフイベント」などプライベートのことも一緒に考えることです。
自分自身の価値観は、全てのライフステージの判断において軸となるものであり、キャリアのみならず人生において重要な視点になります。
ステップ3:将来の理想像をイメージする
過去と現在を整理することができたら、経験や価値観から将来の理想像をイメージしましょう。
例えば、将来どこで、どんな仕事をして、どんな暮らしをしたいのかを考えます。将来の理想像をイメージするときは、実現できるかできないかを考える必要はありません。どんな人生を歩んでいることが、あなたにとっての理想像なのかを考えましょう。
もし、理想像が思いつかないという方は、友人や上司などロールモデルの経歴を参考にしてみてください。あなたが憧れる人の経歴を参考にすることで、キャリアプランを整理しやすくなるでしょう。
理想像がはっきりすると、ゴールが見えてきます。いつまでに、何を達成しなければならないのかがはっきりと見えてくるので、理想を具体的にするステップへとスムーズに進むことができます。
ステップ4:理想と現実の間にあるギャップを埋める
将来の理想像と、今のあなたを理解したことで、そこにギャップが生まれます。このギャップを埋めるための行動計画を立てることが最後のステップです。なぜなら、ギャップを埋めること=将来の理想に近づくことであるからです。
将来の理想像と今のあなたを照らし合わせ、何が不足しているのか、今後伸ばしていくべき能力は何かを明確にしましょう。そして、理想像に近づくためにいつまでに・何をするかという計画を立てていきます。
このとき、長いスパンで計画を立てるのではなく、短かいスパンで細かく計画を立てていくとよいでしょう。なぜなら、計画のスパンが長くなればなるほど達成するまでに時間がかかり、モチベーションの維持が難しくなるからです。一方、短いスパンの細かい計画であれば、短い間隔で達成感を得ることができ、モチベーションの維持、向上につながります。また、計画が着実に進んでいるという安心感も得られるでしょう。
具体的なアクションを考えるときは、いきなり10年後のキャリアプランを立てるとイメージしにくいものもあるかと思うので、1年後、3年後、5年後と細かい計画を立ててみてください。
キャリアプランを考えるときの3つのポイント
キャリアプランを考えるときに必ず意識してほしい3つのポイントがあります。このポイントが抜けたままキャリアプランを考えても、納得のいくキャリアプランとすることはできないでしょう。
これから解説する3つのポイントを意識したキャリアプランを考えてください。
キャリアプランは自分の気持ちに正直になって考える
キャリアプランを考えるときは、実現できるかどうかは関係ありません。自分の気持ちに正直になって理想のキャリアを考えましょう。
将来の理想について考えるとき、「高望みし過ぎかな」とか「実現させるのは大変だな」などネガティブな気持ちが生まれてしまい、妥協してしまう方がいます。ですが、それは本当の意味での理想のキャリアとは言えません。
理想のキャリアとは、あなたが本当に実現させたいと思うものです。妥協するのではなく、どうやったら実現できるのかを考えることが大切です。キャリアプランは自分に正直になって考えてください。
実現性があり成果が確認できる目標を設定する
目標設定をするときは、実現性があり成果が確認できる目標を設定してください。なぜなら、目標にそもそも実現性がなかったり、成果が確認できなければ、目標を達成するまでのモチベーション維持が難しくなるからです。
目標に実現性があり成果を確認できれば、短い間隔で達成感得ることができ、モチベーション維持や向上へとつなげることができます。また、計画が着実に進んでいる安心感を得ることもできるでしょう。
もし、あなたの理想像と現実とのギャップが大きい場合は、より細かい目標を設定することで、途中で挫けることなく実現に向けて取り組み続けることができます。
やるべきことは期限を明確にする
やるべきことを整理するときは、それぞれの期限を明確にしてください。期限を明確にすることで、いつまでに達成しなければならないといった緊張感や目標達成の可能性を向上させる効果があります。
また、期限を設定するときにも注意するべきポイントがあります。それは長期的な期限を設定しないということです。長期的な期限を設定すると達成するまでのモチベーションの維持が難しくなくなります。期限を設定するときは短期でおこなうことを心掛けてください。
キャリアプランは何度でも見直していい
キャリアプランは人生における目標と達成するためのアクションを考えます。そのため、一度のプランニングで終わるのではなく、定期的に見直すことが大切です。
具体的には、四半期毎であったり一年毎であったり、あなたに合ったタイミングで定期的に見直しましょう。
これから先の人生、何が起こるかは誰にもわかりません。全てが計画通りに行くことはないでしょう。定期的にキャリアプランを見直すことで、ズレや遅れなどを認識することができるので、「全然目標に近づけない」といった最悪の事態を避けることができます。
また、最初に考えたキャリアプランから理想像が変化する場合もあるでしょう。そんなときは、思い切って理想像を再考するようにしてください。
まとめ|キャリアプランを立てて理想の実現へ一歩を踏み出そう
キャリアプランは、あなたの将来の理想を実現するために必要不可欠なものです。なぜならキャリアプランそのものが「自分が将来実現したい目標と、その目標を達成するための手段」をまとめた中長期の計画だからです。
一方で、想定外の変化が起きる時代で、物事を計画通りに進めることは難しいのだからキャリアプランは不要だという意見もあります。ですが、想定外の変化が起こるからこそ計画を立てて、起きるであろうことを想定する必要があるのです。
また、キャリアプランを立てることで、将来の理想の実現に向けて行動できるようになるだけでなく、仕事の充実感や満足感にも好影響を与えるでしょう。
仕事のモチベーションが上がらない方や、将来何をすべきか迷っているという方は、改めて過去の振り返りやキャリアプランを立てることから始めてみることをおすすめします。
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